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小津安二郎と楠公の歌。

700年の時を経て蘇る。幕末の志士が愛す"楠木正成"の写真展開催。

 

本プロジェクトにご興味を持っていただき、ありがとうございます。

山岳写真家の廣田勇介です。

 

さて、毎日情報をUPします!などと意気込んでいたのですが、

 

この情報、UPされると自動的にご支援者様に通知がいくそうで、

 

 

さすがに毎日情報が送られてきましたら、どんなにお好きな方でも、

楠公インフレの発生が予想されますので、

隔日の発信にさせて頂きたいと思います。

 

 

 

さて、昨日は図録をお願いするデザイン事務所に伺いました。

 

 

普段からお世話になっているこの事務所は、

 

バリバリの横ノリな方々が運営し、

スノーボードカルチャーの最右翼の雑誌をデザインされている事務所です。

 

 

 

そういう方々に、歴史モノ、

さらにはマニアックな南朝関係史の図録をお願いするという

 

 

水と油…

 

 

じゃなくて、

 

 

アップルとシナモン?

 

 

いや

 

 

 

酢豚とパイナップル?

 

 

のような、

 

それは合わないしっょ!という組み合わせで起こる

 

化学反応を期待しております。

 

 

さて、場所は、こちらの近く。

 

 

春の小川?

 

ええ、あの小学校唱歌で歌われていたあれです

 

 

そのモデルとなった場所なのですね。

 

 

 

 

そして←の方向を見ますと…

 

 

バリバリのコンクリート・ジャングル…

 

 

 

 

まったく面影がありません…

 

 

 

さらにはこんな看板が、

 

 

風情も何もあったもんじゃありません。。。

 

 

最近では、小学校の運動会でも、

唱歌に合わせて踊ることはないそうですね。。。

 

 

 

数年前に行った親戚の子供の運動会のお遊戯では、

こちらのグループの方の曲に合わせて、

いたいけな児童が踊っていました。

 

 

時代ですね。

 

 

 

さらにそれを聞いていた祖母が一言、

 

「いやねえ、流行歌なんて…私の頃は

『荒城の月』を踊ったものよ…」

 

と。

 

 

 

改めて、時代ですねえ。

 

 

さて、楠公関係の唱歌といえば、

もちろんこちら

 

落合直文作詞の『大楠公の歌』。

 

太平記の名シーン、「櫻井の別れ」を

唱歌に昇華した名作中の名作です。

 

 

 

―桜井の訣別―
1.青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ
木(こ)の下陰に駒とめて

世の行く末をつくづくと
忍ぶ鎧(よろい)の袖の上(え)に

散るは涙かはた露か

 

からはじまり、


6.共に見送り見返りて

別れを惜しむ折からに
またも降りくる五月雨の

大空に聞こゆる時鳥(ほととぎす)
誰か哀れと聞かざらん

あわれ血に泣くその声を

 

までがよく知られています。

 

 

でも、この歌は実は15番まであるんですね。

 

グリーン・グリーンも顔負けです!

 

 

 

 

ちなみに15番はこちら。

 

15.さはいえ悔し願わくは 七度(ななたび)

この世に生まれ来て
憎き敵をば滅ぼさん

さなりさなりとうなづきて
水泡(みなわ)ときえし兄弟(はらかた)の

心も清き湊川

 

 

となっています。

 

 

朗らか曲調の中に、

 

燃ゆる魂と別れの哀しみ

 

熱き血潮と深い献身

 

私などが、全く失ってしまった古き良き日本人の魂が、

 

実に懐かしく歌われています。

 

 

ちなみに、小津安二郎の映画『彼岸花』で、

 

 

 

笠智衆の詩吟(こちらも小楠公の如意輪寺の出撃シーン)の後、

 

同窓の人々が宴会で、

この「青葉繁れる桜井の」を、

合唱するシーンがあるんですね。

 

 

これがまた自然でいいんですよ。

 

ちょっと前までの日本人は、こんな感じで、

本当にこんな感じで、

自然に楠公カルチャーに親しんでいたんですよね。

 

The world was much more innocent.

 

という歌詞が有名なポップミュージシャンの歌にありますが、

まさに其の通り。

 

小津安二郎や黒澤明をみますと、

私たちが、失ってしまったものを、考えざるをえませんね。

 

 

今日は、図録の話まで行き着けませんでしたが・・・。

また、次回に、

 

 

ありがとうございました。

 

 

 

廣田勇介

楠木正成銅像写真展